プロ野球チームでリハビリテーションを担当するトレーナーの仕事内容を教えてください!
この記事ではプロ野球トレーナーのリハビリテーション担当の仕事について解説しますね。
どんな資格が必要なのか?
主に下記のような医療系資格が必要になります。
- 理学療法士
- BOC-ATC
リハビリテーションの流れ
リハビリテーションは下記の流れで進めていきます。
- 受傷時対応~初期評価
- 保存療法か?手術適応か?
- リハビリテーションプラン作成
- メディカルリハビリテーション
- アスレチックリハビリテーション
- 技術練習
- ゲーム出場
各時期にどんなことが必要なのか?を解説していきたいと思います。
受傷時対応~初期評価
受傷直後の対応は病院や治療院では少ないかもしれませんね。
多くの怪我が練習中やゲーム中に起きます。
受傷時対応~初期評価は主にメディカル担当またはリハビリテーション担当が行います。
捻挫や肉離れ、打撲などのような外傷、投球障害肩・肘のような障害のどちらであっても、まずは運動を中止させ、運動を継続させて良いかどうかの判断をトレーナーが行います。
誰が見ても運動を中止させることが必要な場合は簡単に判断できますが、微妙な場合は判断が難しいです。
選手はゲーム中、興奮状態で痛みを感じにくく、長い時間ゲームを中断することもできないので判断を下すまでの時間が極端に短いのです。
判断を間違ってしまうと状態を悪化させてしまい、リハビリテーションの期間を延ばしてしまうこともあります。
運動を中止させた場合はトレーナールームで初期評価を行っていきます。
- 疼痛評価(圧痛・伸張痛・収縮峙痛など)
- 関節可動域
- 筋力評価(MMTなど)
- 整形外科テスト
- エコーを用いた画像評価
最近では徒手検査だけでなく、エコーによる評価が普及してきており、トレーナーが病態をより正確に評価するために必要なスキルになってきました。
トレーナーによる評価をもとにチームドクターと相談の上、追加の画像検査をするかどうか判断していきます。
保存療法か?手術療法か?
追加の画像検査が必要と判断した場合には選手の通院に帯同します。
選手の通院にはトレーナーが帯同し、チームドクターに受傷起点や初期評価の結果を説明します。
帯同するトレーナーは重症度に応じて決定されます。
- 明らかに重症で負傷者リスト入りが確実 → リハビリテーション担当
- チームドクターの判断によってはゲーム出場が可能 → メディカル担当
画像検査や徒手検査などの結果から診断が下され、保存療法か手術適応かが決まります。
保存療法でも手術療法でもチームが一番知りたいのは「どれくらいでチームに戻ってくるのか?」ということなのでチームドクターに全治期間を確認して報告します。
保存療法
保存療法であれば定期的に通院しながらリハビリテーションを行っていきますが、難渋する場合には途中で手術療法に切り替わることもあります。
手術療法
手術適応であれば実際に手術を見学し、術後リハビリテーションを行っていきます。
保存療法でも手術療法でも画像検査や徒手検査の結果を説明されて病態を理解できるようにしておくことが重要です。
リハビリテーションプラン作成
リハビリテーションにおいて最も重要な部分です。
チームドクターの全治期間を参考にゴールを決め、段階的にどのようなリハビリテーションを行っていくか?を決めていきます。
リハビリテーションプランの中には下記のようなことが記載されます。
- 患部回復状態の基準値(可動域・筋力など)
- エクササイズプログラム
- ランニングプログラム(いつ何をやるか?)
- 技術練習内容(いつ何をやるか?)
- ゲーム復帰予定日
作成したリハビリテーションプランを逸脱するようであれば、その都度変更して進めていきます。
このプランはチームにとっても重要な内容なのでトレーナーだけでなく、監督、コーチ、その他スタッフなど様々な方へ共有していきます。
メディカルリハビリテーション
術後リハビリテーションの経験が問われますね。
受傷直後や術後早期はベッドサイドでメディカルリハビリテーションを進めていきます。
徒手療法や物理療法などを組み合わせて、より早く患部の状態を改善できるかが重要になります。
また、病態によっては禁忌動作もあるので選手に説明し、理解してもらいます。
メディカルリハビリテーションではトレーナーがもっている「資格」よりも「経験」が問われます。
理学療法士であっても、病院での術後リハビリテーションの経験が無ければ上手くいかないですし、その他の医療資格であっても術後リハビリテーションの経験があれば上手くいくこともあります。
アスレチックリハビリテーション
アスレチックリハビリテーションが最も難しいところです。
患部の状態が回復してきたらエクササイズやトレーニングを再開していきます。
患部に対するエクササイズやトレーニングは患部の状態に合わせて方法・量・強度を選択していきます。
- 禁忌動作ではないか?
- 荷重させて良いか?自重より負荷をかけてよいか?
- どれぐらいの重さで何回行わせるか?
- 翌日にリカバリーできているか?
患部外に対するエクササイズやトレーニングは高強度で実施する場合もあります。
例えば、上肢の怪我であれば下肢は問題ないことが多いので、ランニング強度は漸増的に上げていきますし、下肢の怪我であれば上肢のウエイトトレーニングなどは積極的に行っていきます。
患部には適切な負荷をかけ、患部外は機能低下を防ぐということが重要になります。
技術練習
最も大事なのはトレーニング強度を上回る技術練習は許可しないことです。
アスレチックリハビリテーションの進行に合わせて徐々に技術練習も再開していきます。
ここで重要なのは…
- トレーニング強度を上回る技術練習は許可しない
- ポジションに合わせた動作確認をする
- 技術指導はしない
- コーチと連携する
最も大事なのはトレーニング強度を上回る技術練習は許可しないということですね。
例えば、内野手のリハビリテーションの中で左右への切り返し(アジリティ)が確認できていないのに内野ノックを行わせるなどはNGということです。
トレーニング強度が担保できていないと再発するリスクも高くなるということを丁寧に説明し、基準を設けることで選手にも理解してもらう必要があるのです。
ゲーム出場
ここまで来ればゴールまでもう一歩ですが慎重に進める必要があります。
ここまで来ればゴールと考えがちですが、慎重に進める必要があります。
それは練習とゲームの強度に大きな差があるためです。
練習をゲーム形式で行ったとしてもゲームと同じ強度にはならず、練習とゲームの強度には差があります。
リハビリテーションがどんなに順調に進んでいてもゲーム出場はコーチと相談し、部分的な出場から始めていくことが重要です。
ゲーム出場翌日に悪化が無いかどうか評価を行い、問題なければゲーム出場機会を増やしていくという作業を繰り返していく必要があるのです。
まとめ
プロ野球トレーナーのリハビリテーション担当の仕事についてまとめます。
- どんな資格が必要なのか?
- 理学療法士
- BOC-ATC
- リハビリテーションの流れ
- 受傷時対応~初期評価を行う
- メディカル担当またはリハビリテーション担当が行う
- 判断を下すまでの時間が極端に短い
- 保存療法か?手術療法か?判断される
- トレーナーが通院に帯同
- 保存療法か手術療法が決まる
- リハビリテーションプランを作成する
- どのようなリハビリテーションを行っていくか?
- メディカルリハビリテーション
- 「資格」よりも「経験」
- アスレチックリハビリテーション
- 患部には適切な負荷をかけ、患部外は機能低下を防ぐ
- 技術練習
- トレーニング強度を上回る技術練習は許可しない
- ゲーム出場
- 練習とゲームの強度には差がある
- 受傷時対応~初期評価を行う
ありがとうございました!