肉離れをしてしまったんですが、治るのにどれくらいかかりますか?
軽症であれば1~2週間、重症だと4か月以上かかる場合もあります。
肉離れを早く治す方法を教えて下さい!
この記事では肉離れの重症度や全治期間、早く治す方法を解説します。
肉離れとは?
肉離れとはスポーツ外傷のひとつで筋肉が部分的に断裂または完全に断裂することをいいます。
- 筋肉が部分断裂または完全断裂すること
- 重症度によって全治期間が大きく異なる
- 再発に注意
- 適切な治療・適切な栄養摂取が重要
「肉離れ」と言っても様々な状態があり、重症度によって全治期間が大きく異なります。
適切な方法で治療をしたり、食事やサプリメントの摂取の仕方によって治癒を促進することが可能です。
また、肉離れは「クセになる」とも言われており、怪我をした経験(既往歴)があると再発するリスクが高くなることが示されています。
肉離れの重症度の確かめ方
簡易的な重症度の確かめ方
日本整形外科学会のホームページに載っている方法です。
下記3か所の簡易的な肉離れの重症度の確かめ方を紹介します。
- 太ももの後ろ(ハムストリングス)
- 太ももの前(大腿四頭筋)
- ふくらはぎ(腓腹筋)
「どのぐらい筋肉をストレッチしたら痛みが出てくるか?」によって簡易的に重症度を判断することができます。

太ももの後ろ(ハムストリングス)
太ももの後ろの筋肉であるハムストリングスの重症度の確かめ方を紹介します。
ハムストリングスを確認する場合はペアで行う必要があります。
- 仰向けになる。
- ヒザを伸ばしたまま、足を持ち上げてもらう。
- 足がどれぐらい上がるか?(角度)を確認する。
- 30°以下:重症
- 30〜70°:中等症
- 70°以上:軽症
太ももの前(大腿四頭筋)
太ももの前の筋肉である大腿四頭筋の重症度の確かめ方を紹介します。
大腿四頭筋を確認する場合はペアで行う必要があります。
- うつ伏せになる。
- 足を持ち上げて、ヒザを曲げてもらう。
- ヒザがどれぐらい曲がるか?(角度)を確認する。
- 45°以下:重症
- 45〜90°:中等症
- 90°以上:軽症
ふくらはぎ(腓腹筋)
ふくらはぎの筋肉である腓腹筋の重症度の確かめ方を紹介します。
腓腹筋の確認は一人で行うことができます。
- アキレス腱を伸ばすようにストレッチします。
- ヒザを曲げてもストレッチで痛い・つま先立ちできない:重症
- ヒザを曲げていればストレッチ痛が軽い:中等症
- ストレッチ痛が軽い:軽症
正確な重症度の確かめ方
スポーツをする方であれば正確な重症度を確かめることをオススメします。
ここからは専門的な内容を含みますので、飛ばしていただいても大丈夫です。
肉離れの正確な重症度を知るためにはMRI検査が必須になります。
MRI検査は画質や検査内容によって価格が変化しますが、3割負担であれば1万円以下で撮影できる場合がほとんどです。
MRI検査によって肉離れのグレード(重症度)やタイプ(部位)が分かり、スポーツ復帰時期をより正確に見定めることができます。
- グレード分類:損傷の重症度による分類
- タイプ分類:損傷している部位による分類
この2つの分類の組み合わせによって全治期間や再受傷する可能性も全く異なります。
グレード分類
グレード分類は重症度によって3つに分かれます。
- 1度:わずかな損傷
- 2度:部分断裂
- 3度:完全断裂
1度:わずかな損傷
出血像はあるものの、筋膜または腱膜の輪郭が保たれている状態のことを指します。
2度:部分断裂
出血像があり、筋膜または腱膜の輪郭が部分的に断裂している状態のことを指します。
3度:完全断裂
出血像があり、筋膜または腱膜の輪郭が完全に断裂している状態のことを指します。
タイプ分類
タイプ分類は損傷している部位によって3つに分かれます。
- タイプⅠ:筋線維損傷型(2週以内)
- タイプⅡ:腱膜部損傷型(6~8週以降)
- タイプⅢ:付着部損傷型(手術後4~6か月以降)
※( )内は目安の復帰期間
タイプⅠ:筋線維損傷型
軽症でほとんどが2週間以内に理学所見に基づいた判断にて復帰可能といわれています。
「理学所見に基づいて」ということは復帰にあたってMRI検査は必須ではなく、理学療法士やトレーナーによる評価を参考に復帰可能ということを意味しています。
スポーツ現場においても遭遇することが多く、受傷直後でも強い伸張痛や収縮時痛は無く、40~50%強度で走ることが可能な場合もあります。
受傷して数日でテーピングしながら制限付きでプレーすることもありますが、受傷した部位をかばって別の部位を肉離れしてしまうなんてこともありますので、早期復帰のリスクを理解した上で進めていくことが重要です。
タイプⅡ:腱膜部損傷型
多くが復帰まで6~8週間かかる中等度の症例であり、再受傷する可能性が高いのが特徴です。
再受傷の可能性が低い状態に腱膜が修復するのにほとんどの症例で6~8週以上を要すると言われています。
経験のある理学療法士やスポーツトレーナーであっても自覚症状や理学所見から腱膜がどの程度修復したか正確に判断することは困難です。
復帰前に必ずMRI検査を行って損傷した腱膜の修復を確認してから80%~100%強度のスプリント(全力に近い走動作)を行うようにしましょう。
タイプⅢ:付着部損傷型
手術が必要になる場合があるので早期にMRI検査を行うことが重要です。
日常生活やレクリエーションレベルのスポーツであれば手術をせずに保存療法にて復帰可能な場合もありますが、ハイレベルのアスリートは手術が必要になります。
手術の場合には受傷から2週間以内に行うことが推奨され、それよりも遅れてしまうと手術後の経過にも影響がでるので注意が必要です。
手術後4~6か月以降に復帰となる場合が多いようです。
肉離れを早く治す方法
肉離れを早く治すために重要なことが2つあります。
- 適切な治療・リハビリテーション
- 適切な食事・サプリメント
適切な治療・リハビリテーション
肉離れを早く治すために適切な治療・リハビリテーションは時期によって異なります。
受傷直後は安静にして、時期が進むにつれて徐々に動かし、スポーツ復帰前には強度の高いトレーニングも実施することが必要となります。
世の中には様々な治療やリハビリテーションが存在していますが、時期を間違えた治療・リハビリテーションはかえって悪化させることもあるので注意が必要です。
- 痛みの強い時期に動かし過ぎてしまう
- 痛みが無くなっているのに動かさず、硬くなってしまう
定期的に理学療法士やスポーツトレーナーのリハビリテーションを受けたり、トレーニングの指導を受けると良いでしょう。
食事・サプリメント
肉離れを早く治すために食事やサプリメントも重要になってきます。
食事
筋の損傷を改善させる主な栄養素は下記になります。
特にたんぱく質は必要不可欠な栄養素になるので積極的に摂取する様にしましょう。
- たんぱく質:肉・魚・大豆
- コラーゲン:軟骨
- ビタミンB6:まぐろ・レバー
- ビタミンC:パプリカ・ピーマン・ブロッコリー
- マグネシウム:あおさ・のり・ひじき・昆布
サプリメント
サプリメントを利用することで筋の損傷を改善させることが示されています。
運動誘発性筋損傷(EIMD)に対してHMB、L-カルニチン、BCAA、クルクミン、高麗人参、葉エキス、ポリフェノール、アントシアニンのサプリメントはEIMDに関連するいくつかの転帰に対して良好な効果を示した。
Sepide Talebi et al.Nutritional interventions for exercise-induced muscle damage: an umbrella review of systematic reviews and meta-analyses of randomized trials.Nutrition reviews. 2023 Jul 17; pii: nuad078.
特にHMBやBCAAは様々な種類が出ていますが下記がオススメです。
肉離れの再発を予防する
肉離れの再発を予防するために重要なことが2つあります。
- 適切なトレーニング
- テーピングやサポーターによる補助
適切なトレーニング
肉離れ後のスポーツ復帰には適切なトレーニングが必要になります。
痛みが無くなっても筋力は元に戻っていない場合が多く、そのままスポーツに復帰すれば再発するリスクが高くなります。
そのため、レクリエーションレベルのスポーツであってもトレーニングは必要不可欠と言えます。
今では自宅でも簡単にトレーニングできる道具もあります。
定期的に理学療法士やスポーツトレーナーによるトレーニングの指導を受けながら自宅でもトレーニングを行うのが理想ですね。
テーピング・サポーターによる補助
肉離れ後のスポーツ復帰には不安がつきものですね。
どんなにトレーニングしていても「いざ、走る」となると不安が残る場合も多いと思います。
そんな時はテーピングやサポーターを使用しながら復帰していくと良いでしょう。
テーピング
- 薄いのでウェアの下に貼っても目立たない
- サポート力を調整しやすい
- 好きな色を選べる
- 使い捨ての為、コスパが悪い
- 皮膚が荒れることがある
サポーター
- 厚いのでテーピングよりも安心感がある
- 何度も使えるのでコスパが良い
- 肌荒れしにくい
- デザインは選べず、ウェアの下でも目立つ
テーピングは難しいイメージがあるかもしれませんが、あらかじめカットされたテープを説明通りに貼ることで一人でも簡単にテーピングすることができます。
また、サポーターもサポート力の違う商品があるので運動強度に応じて選ぶことができます。
まとめ
肉離れの重症度や全治期間、早く治す方法をまとめます。
肉離れとは?
- 筋肉が部分断裂または完全断裂すること
- 重症度によって全治期間が大きく異なる
- 再発に注意
- 適切な治療・適切な栄養摂取が重要
重症度の確かめ方
- 簡便に確かめる方法もある
- 正確な重症度を確かめるためにはMRI検査が必要
肉離れを早く治すには?
- 適切な治療・リハビリテーション
- 適切な食事・サプリメント
肉離れの再発を予防するには?
- 適切なトレーニング
- テーピングやサポーターによる補助
ありがとうございました!
参考文献・図書
- 奥脇透.筋損傷の画像診断.㈱文光堂.2021年.p381
- 仁賀定雄.ハムストリングス肉離れ Jpn J Rehabil Med.2019;56:778-783
- 奥脇透.ハムストリング肉離れ.臨床スポーツ医学.2008;25:93-98
- 奥脇透.トップアスリートにおける肉離れの実態.日本臨床スポーツ医学会誌.2009;17:497-505