HMBって本当に有効ですか?HMBについて知りたいです!
この記事ではHMBの効果や摂取の仕方、安全性を紹介します。
HMBとは?
HMBとはβ-ヒドロキシ-β-メチル酪酸のことです。
タンパク質はペプチドに分解され、ペプチドはアミノ酸に分解され、アミノ酸の一種であるロイシンが代謝されてできるのがHMBです。
下記はタンパク質が代謝されていく流れとサプリメントの関係を表した図になります。
それを聞くと…
「プロテインやEAA・BCAAをサプリメントで摂取すればいいのではないか?」
と思いますよね?
ただし、ロイシンから作られるHMBは非常に少なく、約5%と言われています。
つまり、ロイシンを1,000mg摂取してもHMBは約50mgしか取れないということになります。
HMBの体重60kgの人の1日摂取目安量は2,280mgですのでロイシンのみで摂取しようとすると45,600mgとなり、現実的ではありません。
そのため、HMBを摂取するにはロイシン含有量の多い食品やサプリメントを摂取するだけでなく、HMBサプリメントが効率的と言えます。
HMBサプリメントにはHMBカルシウム(HMB-Ca)とHMBの遊離酸形態(HMB-FA)の2種類が使用されています。
HMBカルシウム(HMB-Ca)
- HMBの成分を安定させるためにカルシウムと結合させたサプリメント
- 血中濃度は摂取後1~2時間でピーク
- 比較的安価で種類が多い
HMB遊離酸(HMB-FA)
- HMBを純粋な遊離酸として精製したサプリメント
- 血中濃度は摂取後30分程でピーク
- 比較的高価で種類が少ない
HMBの効果
HMBは運動によるタンパク質分解を抑制し、運動後のタンパク質合成を促進する効果があると言われています。
特にトレーニング初心者や活動量の少ない高齢者において筋肉量を増加させることが実証されています。
その他にも摂取しながら一定の運動プログラムを行うことで脂肪量の減少がより大きくなったり、運動後の筋肉痛(運動誘発性筋損傷:EIMD)の回復を促進する可能性があるとも言われています。
しかし、競技アスリートにおいては筋力および身体組成への効果は認められないとされているため、摂取者のカテゴリによって判断することが重要です。
- タンパク質分解を抑制し、運動後のタンパク質合成を促進する
- トレーニング初心者や高齢者の筋肉量を増加
- 脂肪量の減少(※一定の運動プログラムに合わせて摂取した場合)
- 運動後に起こる筋肉痛の回復促進
- 競技アスリートでは効果は認められない
HMBの摂取の仕方
HMBの摂取目安量や摂取するタイミング、摂取する期間を紹介します。
摂取目安量
HMBの摂取目安量は1日に体重1kg当たり約38mgと言われています。
体重60kgであれば1日に38mg×60kgで2,280mgが目安量
また、厚生労働省が発表する日本人の食事摂取基準(2015年版)のなかでは1日3,000mg摂取することで筋肉量の増加が期待できると公表されています。
アメリカの70歳の地域在住高齢者を対象としたRCTにおいても、レジスタンス運動中に HMBを毎日3g補給することにより、筋肉量の増加が期待できることが示された。
日本人の食事摂取基準(2015年版)
自分の体重にあった摂取目安量を参考にサプリメントを選ぶと良いでしょう。
摂取するタイミング
HMBは運動後に摂取することが効果的であると言われています。
また、運動後であればプロテインやEAA、BCAAなどのサプリメントも同時に摂取することが多いと思います。
併用するサプリメントから摂取されるHMBの量も考慮してHMBサプリメントの摂取量決定すると良いでしょう。
摂取する期間
HMBは運動の2週間前から摂取することが最も効果的であると言われています。
要するに単独で摂取するよりも長期間摂取し続けることで効果が高まると言えますね。
また、運動後の筋肉痛(運動誘発性筋損傷:EIMD)の回復を促進する効果では6週間以上の長期的な摂取でより高い効果が得られることもわかっています。
摂取に関する+α
HMBを摂取する時にクレアチン3,000~10,000mgを組み合わせて摂取することで1~6週間後のスポーツパフォーマンス(筋力および無酸素性パフォーマンス)や4週間後の身体組成(無脂肪量の増加および脂肪量の減少)に対してプラスの効果をもたらす可能性が示唆されています。
ただし、そもそもクレアチンには運動パフォーマンスを向上させる効果があるため、運動パフォーマンスの向上が目的であればクレアチンのみでも良いかもしれませんね。
- 体重1kg当たり約38mg(※もしくは1日3,000mg)
- 運動後の摂取が効果的
- 長期間摂取することが効果的
- クレアチンとの併用はプラスの効果をもたらす可能性
HMBの安全性
摂取目安量であれば年齢層関係なく長期的に摂取しても安全とされています。
ただし、摂取目安量を大きく超える場合や持病がある場合には気を付ける必要があります。
持病がある場合には必ず主治医に確認してから摂取しましょう。
オススメのHMBサプリメント
DNS
アバンド
マイプロテイン
まとめ
HMBサプリメントについてまとめます。
- HMBには2種類ある
- HMBカルシウム(HMB-Ca)
- HMB遊離酸(HMB-FA)
- HMBの効果
- タンパク質分解を抑制し、運動後のタンパク質合成を促進する
- トレーニング初心者や高齢者の筋肉量を増加
- 脂肪量の減少(※一定の運動プログラムに合わせて摂取した場合)
- 運動後に起こる筋肉痛の回復促進
- 競技アスリートでは効果は認められない
- HMBの摂取の仕方
- 体重1kg当たり約38mg(※もしくは1日3,000mg)
- 運動後の摂取が効果的
- 長期間摂取することが効果的
- クレアチンとの併用はプラスの効果をもたらす可能性
- HMBの安全性
- 長期的に摂取しても安全
参考文献
- Jacob M Wilson et al.International Society of Sports Nutrition Position Stand: beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB).Journal of the International Society of Sports Nutrition. 2013 Feb 02;10(1);6.
- Ziru Lin, Anqi Zhao, Jiguo He.Effect of β-hydroxy-β-methylbutyrate (HMB) on the Muscle Strength in the Elderly Population: A Meta-Analysis.Frontiers in nutrition. 2022;9;914866.
- Javier Sanchez-Martinez et al.Effects of beta-hydroxy-beta-methylbutyrate supplementation on strength and body composition in trained and competitive athletes: A meta-analysis of randomized controlled trials.Journal of science and medicine in sport. 2018 Jul;21(7);727-735.
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