アロマテラピーとは?
植物から抽出されたアロマオイルを用いて身体や心の健康を促進する自然療法の一種です。
アロマオイルは植物の花・果実・樹脂・葉・幹・根から抽出され、様々な効果を持つ成分が含まれています。
アロマオイルはエッセンシャルオイルや精油とも言われます。
アロマオイルを芳香させたり、身体のトリートメントに使用したりすることを一般的にアロマセラピーと呼んでいます。
AEAJについて
日本には2005年に設立されたAEAJと呼ばれるアロマテラピーの普及・調査・研究などの活動を行っている公益法人があります。
AEAJではアロマテラピーを以下のように定義しています。
AEAJのアロマテラピーの定義
アロマテラピーは、植物から抽出した香り成分である「精油(エッセンシャルオイル)」を使って、美と健康に役立てていく自然療法です。
アロマテラピーの目的
●心と身体のリラックスやリフレッシュを促す
AEAJホームページ
●心と身体の健康を保ち、豊かな毎日を過ごす
●心と身体のバランスを整え、本来の美しさを引き出す
アロマテラピーに関する様々な資格を発行していますので興味ある方は調べてみてくださいね。
アロマオイルとは?
AEAJはアロマオイル(精油)を以下のように定義しています。
AEAJのアロマオイル(精油)の定義
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、果皮、果実、心材、根、種子、樹皮、樹脂などから抽出した天然の素材で、有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質である。各植物によって特有の香りと機能を持ち、アロマテラピーの基本となるものである。
AEAJホームページ
抽出部位による違い
アロマオイルは抽出部位によって特有の香りや効能を持っています。
抽出部位ごとに解説していきます。
花
華やかな香りのアロマオイルが多く、ホルモンバランスを整える作用があるといわれています。
- ゼラニウム
- イランイラン
- ジャスミン
- カモミールローマン
- ローズ・アブソリュート
- etc…
果実
- 爽やかな香りのアロマオイルが多く、リフレッシュしたい時に使うと良いでしょう。
- また、消化器系に効くとも言われています。
- オレンジスイート
- グレープフルーツ
- ベルガモット
- レモン
- ライム
- etc…
樹脂
個性的な香りのアロマオイルが多く、心身を癒やすと言われています。
- フランキンセンス
- ベンゾイン
- ミルラ
- etc…
葉
- スッキリとした香りのアロマオイルが多く、リフレッシュしたい時に使うと良いでしょう。
- また、抗菌作用があるものもあります。
- ペパーミント
- クラリセージ
- バジル
- etc…
幹
- 森林を思わせる香りのアロマオイルが多く、リラックスする時に使うと良いでしょう。
- 心を鎮めたい時にオススメです。
- サンダルウッド
- シダーウッド
- etc…
根
- 土のような深い香りのアロマオイルが多く、心を落ち着かせる時に良いと言われています。
- ジンジャー
- ベチバー
- etc…
アロマオイルの特徴
アロマオイルには主に4つの特徴があります。
取り扱う際の注意点もありますので必ず確認するようにしましょう。
- 芳香性
- 香りを放つ性質のこと
- 揮発性
- 液体が気体になる性質のこと(≒蒸発性)
- 親油性
- 油に溶けやすく、水に溶けにくい性質のこと(≒脂溶性)
- 水と混ぜるにはエタノールなどを使用する
- 引火性
- 一定の温度に達すると燃え出す性質
- 火気のそばで使用しない
アロマオイルの芳香成分の特徴
アロマオイルの芳香成分は自然界で下記のような働きがあると言われています。
- 誘引効果
- 受粉や種子を運ぶ昆虫や鳥を引き寄せる効果
- 忌避効果
- 摂食される恐れのある昆虫や鳥を遠ざける効果
- 抗真菌・抗菌効果
- 真菌やカビの繁殖を防ぐ効果
アロマオイルの作用
アロマオイルには様々な作用があると言われています。
心身への作用
- 鎮静作用
- 交換神経の働きを鎮める
- 心と身体をリラックスさせる
- 消化促進・食欲増進作用
- 胃腸の消化活動を促進する
- 食欲を増進する
- ホルモン調節作用
- ホルモン分泌を調節する
- 免疫賦活作用
- 免疫力を高めて活性化する
細菌/ウイルス・虫に対する作用
- 抗菌・抗真菌・抗ウイルス作用
- 細菌や真菌の増殖を抑える
- ウイルスの増殖を抑える
- 虫よけ作用
- 虫を寄せつけない
アロマオイルの選び方
アロマオイルは種類が多く、選ぶ際に迷ってしまいますね。
ここではアロマオイルの選び方の基本をお伝えします。
エッセンシャルオイルを選ぶ
アロマテラピーに用いる場合には100%植物から抽出されたエッセンシャルオイル=精油を選ぶようにしましょう。
”アロマオイル”にはエッセンシャルオイルでは無く、様々な粗悪なものがあるので注意が必要です。
下記のようなアロマオイルはエッセンシャルオイルでは無い可能性が高いので注意しましょう。
- 成分に界面活性剤・エタノール・香料が使われている
- 相場よりも著しく安価である
- 製造元が不明瞭である
- 遮光瓶に入っていない
AEAJ表示基準適合認定精油の記載があれば安心して使用できます。
好きな香りから選ぶ
香りは過去の記憶との関係が深いと言われています。
香りと紐づけられた記憶の良し悪しが香りの感じ方に影響します。
そのため、全く同じ香りを嗅いでもらっても「好き」と感じる人もいれば「嫌い」と感じる人もいます。
また、体調によって感じ方が変化する場合もあります。
まずは好きと感じる香りを選ぶと良いでしょう。
効能から選ぶ
アロマオイルには様々な効能が認められています。
自分の目的とした効能に合わせて選ぶと良いですが、効能だけをみて嫌いな香りを我慢して使わないように注意しましょう。
組み合わせから選ぶ
アロマオイルは数種類ブレンドして使用することがあります。
その場合にはアロマオイルの相性から選ぶと良いでしょう。
同じタイプもしくは隣同士のタイプは相性が良いと言われています。
アロマテラピーの楽しみ方
アロマテラピーという言葉は20世紀に生まれ、研究が進んだ今では美容や健康、リラクセーションだけでなく、スポーツや介護、医療などの現場でも活用されています。
代表的なアロマテラピーの楽しみ方を紹介します。
鼻から香りを楽しむ
鼻から脳に伝わるルートです。
芳香浴法
アロマオイルを空気中に拡散させて香りを楽しむ方法です。
香りを拡散させる拡散器には様々な種類があります。
- アロマオイル(1~5滴)
- 拡散器
- ティッシュ・ハンカチ
- アロマディッシュ
- アロマディフューザー
ティッシュやハンカチ、アロマディッシュに1〜2滴垂らしたり、アロマディフューザーを使用して香りを楽しみましょう。
ティッシュやハンカチがあれば楽しめるのでアロマテラピーの中でも簡単な方法です。
吸入法
アロマオイルを蒸気とともに吸入して楽しむ方法です。
- アロマオイル(1~3滴)
- お湯
- 容器
- ボール
- マグカップ
ボールやマグカップに張ったお湯にアロマオイルを垂らして立ち上る香り成分を吸入しましょう。
蒸気を一緒に吸い込むことで呼吸器系のトラブルの際に用いたり、冬場など湿度が低い時期にもオススメです。
アロマスプレー
アロマオイルと無水エタノール、精製水を使ってアロマスプレーを手作りする方法です。
- アロマオイル(3~20滴)
- 無水エタノール(5ml)
- 精製水(45ml)
- 耐熱ガラスビーカー・ガラス棒
- 遮光性スプレーボトル(50ml)
アロマオイルと無水エタノールを混ぜた後に精製水と一緒にスプレーボトルに入れます。
使用するアロマオイルの種類によってルームスプレーやボディスプレーだけでなく、虫除けスプレーも作ることができます。
手作りしたアロマスプレーは保存料が入っていないため、速やかに使い切りましょう。
皮膚から効能を楽しむ
皮膚から吸収されて全身を巡るルートです。
アロマバス・沐浴法
アロマオイルと無水エタノールを使って全身浴や半身浴、部分浴などを楽しむ方法です。
- アロマオイル(1〜5滴)
- 無水エタノール(5ml)
- 洗面器
※あると良いもの
- 天然塩
- 重曹
- ハチミツ
アロマオイルと無水エタノールを混ぜた後にバスタブや洗面器に入れて全身浴や半身浴、部分浴を楽しみましょう。
天然塩や重曹、ハチミツを大さじ2を目安に混ぜることで血行を促進したり、保湿効果も得られるのでオススメです。
フェイシャルスチーム
アロマオイルを蒸気とともに顔に当てて楽しむ方法です。
同時に蒸気を吸い込むので吸入法にもなります。
- アロマオイル(1~3滴)
- バスタオル
- お湯
- 容器
- ボール
- マグカップ
ボールやマグカップに張ったお湯にアロマオイルを垂らして立ち上る蒸気を顔に当てましょう。
蒸気が逃げないように頭からバスタオルをかぶると良いです。
立ち上る蒸気にはアロマオイルの成分も含まれているため、肌に潤いを与えたり、血行を促進したりできます。
湿布法
お湯または冷水にアロマオイルを垂らし、タオルに染み込ませて絞ったタオルを身体に当てる方法です。
- アロマオイル(1~3滴)
- ハンドタオル
- お湯または冷水
温湿布は肩こりや腰痛など、冷湿布は炎症や腫れに効果的とされています。
目的によって温・冷を使い分けましょう。
アロマトリートメント
アロマオイルとキャリアオイル(植物油)を使用してオイルマッサージを行う方法です。
- アロマオイル(1~10滴)
- キャリアオイル(50ml)※1
- 耐熱ガラスビーカー・ガラス棒
- 遮光性ポンプボトル(50ml)
※1ホホバオイルがオススメ
アロマオイルは濃度が濃すぎると肌に悪影響を与える場合があります。
アロマオイルの濃度は身体に使用する場合は1%以下、顔に使用する場合には0.1~0.5%以下にします。
一般的にアロマオイル「1滴=約0.05ml」と言われていますので下記を参考にしましょう。
アロマオイルは目的に合わせてブレンドしても良いですね。
手作り化粧品
アロマオイルと様々な素材を使用して手作り化粧品を作ることができます。
アロマスキンローション
アロマオイルを使ってスキンケアを行う方法です。
アロマスプレーと同じようにアロマオイルと無水エタノール、精製水を使って作りますが、フェイスに使用する場合にはアロマオイルの濃度が0.5%を超えないように注意しましょう。
- アロマオイル(5滴)
- 無水エタノール(5ml)
- 精製水・グリセリン(45ml)
- さっぱり:精製水(45ml)
- しっとり:精製水(40ml)+グリセリン(5ml)
- 耐熱ガラスビーカー・ガラス棒
- 遮光性ポンプボトル(50ml)
アロマオイルと無水エタノールを混ぜた後に精製水と一緒にポンプボトルに入れて作ります。
保湿効果を高めたい場合には精製水を40mlにしてグリセリンを5ml加えると良いでしょう。
また、精製水の代わりに芳香蒸留水を使用するのもオススメです。
手作りしたアロマスキンローションは保存料が入っていないため、速やかに使い切りましょう。
アロマバーム
アロマオイルを混ぜたアロマバームを作る方法です。
アロマバームはスキンケアやヘアケアだけでなく、リップクリームやハンドクリームとしても使用できる万能アイテムです。
- アロマオイル
- ボディ用(1~6滴)
- フェイス用(1~3滴)
- 植物バター(15g)※1
- キャリアオイル(10ml〜15ml)※2
- 耐熱ガラスビーカー・ガラス棒
- ボールまたは鍋など
- お湯
- クリームケース(30g)
※1シアバターがオススメ
※2ホホバオイルがオススメ
植物バターとキャリアオイルを耐熱ガラスビーカーに入れてボールや鍋に入れたお湯で湯煎します。
植物バターが全て溶けて液体になった後にクリームケースに移して粗熱をとります。
粗熱が取れたらアロマオイルを加えてよくかき混ぜて冷暗所にて保管して固体化したら完成です。
硬めのバームが良い場合にはキャリアオイルの量を減らしたり、ミツロウを加えたりすることで硬さを調整できます。
手作りしたアロマバームは保存料が入っていないため、速やかに使い切りましょう。
アロマテラピーを楽しむ上で知っておくべきこと
アロマテラピーで使用するアロマオイルは植物の香り成分を高濃度に抽出したものです。
植物から抽出されたものとはいえ、高濃度のため使用する上で知っておくべき注意点があります。
安全にアロマテラピーを楽しむためにもアロマオイルの取り扱い方法について知っておきましょう。
アロマオイルの使用上の注意点
飲用しない・目に入れない
日本国内におけるアロマオイル(精油)は雑品に該当し、製造元の衛生管理などは法律による規定がありません。
また、口や目の中の粘膜は皮膚よりも外部からの刺激に弱いため、誤って飲み込んだり、目に入ったりした場合には大量の水で洗い流して医師の診察を受けましょう。
原液を直接皮膚につけない
アロマオイルは植物の香り成分を高濃度に含有しており、そのままの濃度で皮膚に使用すると刺激が強すぎます。
そのため、何らかの形で必ず希釈して使うようにしましょう。
特に皮膚から浸透した際に皮膚組織や末梢血管を刺激して炎症や痒みなどを引き起こしやすいのがイランイラン・ジャスミン・ティートゥリー・ブラックペッパー・ペパーミント・メリッサ・ユーカリなどです。
光毒性
アロマオイルの中には光毒性と言って皮膚に塗ったあとに紫外線に反応して炎症や色素沈着を起こす種類があります。
特に柑橘系のアロマオイルに光毒性を持つものが多いので注意しましょう。
注意すべき対象者
アロマテラピーを楽しむうえで適正な濃度であっても注意が必要な対象者がいます。
その他にも持病や植物に対するアレルギーがあったり、高齢者や皮膚が弱い方に実施する場合には医師や専門家に相談して実施するようにしましょう。
アロマオイルの保管方法
アロマオイルは製造後から成分が徐々に変化しており、適切に保管されていれば開封後1年程度使用できます。
しかし、適切な保管方法が守られていないと劣化が早まりますので注意してください。
特に柑橘系のアロマオイルは変化しやすい為、使用前に必ず香りを確認してから使用しましょう。
- 酸化に注意
- 開封から1年以内に使い切りましょう
- 特に柑橘系は変化しやすい
- 紫外線に注意
- 遮光瓶に保管しましょう
- 温度・湿度に注意
- 冷暗所に保管しましょう
※火気の近くや子供・ペットの手の届かない所に保管しましょう
まとめ
アロマテラピーについて徹底解説しました。
アロマテラピーについて知っていただき楽しんでもらえたらと思います。
読んでいただきありがとうございました。